オリンピック選手に聞いてみよう!Vol.1 ~ミキハウスロンドンオリンピック代表選手座談会~

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  • ミキハウス社長 木村皓一 メッセージ

オリンピックを直前に控える、ってどんな気持ち?

藤原
藤原 新(マラソン)2月の東京マラソンでゴールしたとき、タイムを考えるとこれなら選ばれるかな、という思いがあったので、3月に代表が発表されたときには、心の準備ができていました。代表に決まったときは、やった!というよりは、ほっとした気持ちでしたね。ただ、とにかくオリンピックを目標にして、オリンピックだけを見てやってきましたから、それまでは肩に力が入りすぎていたんです(笑)。代表に決まって、オリンピックを目の前にして、ようやく、ある程度リラックスして自分のリズムで練習できるようになっています。
平野
平野 早矢香(卓球)卓球の団体は、4月に香港で行われた大陸予選会で団体の出場権が取れたんですが、本当に苦しい試合の連続だったので、うれしいというよりも、やっと、という気持ちのほうが大きかったですね。北京オリンピックの団体でメダルを取れなかった悔しさがあったので、この4年間はオリンピックに出ることもそうでしたが、やっぱりメダルを取るという目標が強く自分の中にありました。決まった後も、たくさん試合がありましたから、チームの世界ランキングを2位に上げてオリンピックに臨むという目標でやってきたんです。それがチームとして達成できましたから、いよいよだな、という気持ちです。
足立
シンクロナイズドスイミングとしては、チームの団体で4月の最終予選で代表枠を獲得しました。そこでの戦いは 自分たちが思っていた以上に厳しくて、結局3位ギリギリの戦いしかできませんでした。けれども、そんな厳しい状況の中でも、 自分たちの力を発揮して出場枠を獲得できたことに、すごくほっとしました。今は、チームとしても個人としても、どんどん気持ちが高まっているところです。
蟹江
私は、代表に決まったのが、一週間前なんです。ですから、まだオリンピックに出るという実感がありません。私は最初のアーチェリーの選考会で漏れてしまって、切符を逃してしまったんです。ところが、一度は失われたチャンスが巡ってきて、オリンピック選考会の舞台に立つことができました。そこでもう一度チャレンジして代表になれた。オリンピックに出るからには、やっぱりメダルを取るつもりでがんばろうと思います。ただ、今はほっと安心しているところで、まだエンジンがかかっていなくて、これから盛り上げていこうと思っています。
須長
蟹江美貴(アーチェリー)と、 須長由季(セーリング/右)セーリングの代表に決まったときには、これまで支えてくれた母の顔が浮かびました。次に浮かんだのは、ミキハウスの木村社長の顔です(笑)。私は、オリンピックに3度目の挑戦だったんです。「ああ、これでやっと決まったんだ」というほっとした気持ちが大きかった。そこから、あまり時間がないままに、時期がだんだん迫ってきているという感じです。だから、緊張はしていないですね。なんだか小学校の遠足の前日みたいな感じです(笑)。すごいワクワクしていて、このワクワクが終わらなきゃいいのにな、と思っています。

先輩メダリスト2人に聞いてみたいことは?

オリンピック本番の前日、ちゃんと眠れるのでしょうか

須長
今はまったく緊張していなくて、ホントにワクワクしている状態なんですが、本当にオリンピックが迫ってくると、どんな気分になるんですか? 競技の前の日は、ちゃんと眠れるんでしょうか?
鈴木
私は2度、シンクロナイズドスイミングでオリンピックに出させてもらっているんですが、熟睡していましたよ(笑)。1回目のオリンピックで学んだのは、不安が少しでもあると、本番の舞台に立ったときに特大の緊張に変わってしまうということだったんです。4年間の成果が、ひとつの舞台に出るわけですから。だから、2回目のときは、できるだけ不安な気持ちを持たないようにしました。日本で不安を消してから、オリンピックに行こうと思って。そうすると、早く泳ぎたい、いい演技を見せたい、という気持ちが高まってきて。だから、前の日もぐっすりでしたね。
野村
野村私の場合は逆に、まったく眠れなかったんです。柔道で3大会出たわけですが、いずれも1、2時間眠れたか、というくらいで。眠ろうと思っても、眠れない。眠れないから、自分が優勝しているイメージや、表彰台に上がって日の丸が揚がっていくイメージを持とうとするんですが、ふっと気を抜くと、負けている自分や、日本に帰ってきたらみんながガッカリしている、みたいなネガティブなイメージがわいてくるんです。それが極限まで来ると、もうやりたくない、試合が延期にならないか、会場がつぶれてしまわないか、なんてことまで考えるようになって(笑)。怖くて怖くて眠れないんです。それで当日を迎えるんですが、やっぱり試合直前まで怖い。柔道の場合は対人競技ですし、トーナメント戦ですから、誰と当たるかわからない。準備のしようがないんです。これがまた怖さを増幅させるんですよね。
一同
一同そうなんですか。
野村
だから、代表に決まったら、オリンピックは怖いところだ、いつも通り戦える場所じゃないんだ、ということを常に意識しないといけないと思っていました。「なんとかなる」という楽観的な気持ちでは、迎えなかったですね。オリンピックの舞台に立って、緊張で力が出せなかったり、自分を見失ったりする選手もいるんです。そうなったらつらい。楽しむ気持ちも大事だけど、普通の場所じゃない、という意識を常に持って、準備しておいたほうがいいと思います。

本番へのスイッチ、切り替えの瞬間とは?

藤原
不安や恐怖はもちろんあると思うんですが、それがカチっと切り替わっていく瞬間があると思うんです。オリンピックの場合には、何がきっかけで切り替わるものですか。どんな瞬間に切り替わって、どんなふうになるものなんでしょうか。
野村
オリンピックの舞台は、いつも通り戦える場所じゃない、という意識で自分を常に追い込んでいました。それでも恐怖心は抜けない。でも、恐怖心を抱えたまま畳の上に上がったら、絶対に負けるわけです。だから、畳みに挙がる直前、トイレに行って顔を洗って。それから、鏡で自分の顔と目を見て、自分に対して問いかけていました。「今日ビビって、自分を見失って、情けない試合をするために今までがんばってきたのか。オレは今日、チャンピオンになるため、金メダルを取るために、やれることをすべてやってきたんじゃないか」と。問いかけて、鏡の向こうの自分の目を見て、勝負できる男の顔をしているか確認して、「よし!」という気持ちになって。これが、切り替えだったと思います。
鈴木
鈴木今も思い出すんですが、北京オリンピックの前に、世界予選があったんです。そこでは、中国か日本のいずれかがメダル圏内と言われていたんですが、その一番大切な予選会で、私たちは中国に負けてしまったんですね。日本以外の国で3カ国が上位に来てしまった。中国に負けたということは、オリンピック本番ではメダルがないということを意味したんです。だから、それからの4カ月、どうしたらオリンピックでメダルが取れるのか、ものすごく考えるようになって。これでスイッチが切り替わったんですよね。
藤原
そんなことがあったんですか。
鈴木
これがきっかけになって、中国に負けないためには、どんな練習をしないといけないか、どういう技をやらなければいけないか、難易度をどう上げればいいか、みんなで考えるようになった。それで本番の舞台に立ったとき、いろんなことを考え、いろんなチャレンジもしてきた挑戦者として闘うことができたんです。ところが、中国は、地元開催のオリンピックだったこともあって、ものすごく緊張していた。これを見たとき、「勝てる」と思ったんですね。これが、もうひとつのスイッチの切り替えでした。練習でガチガチに緊張して、自分の力を出し切れていないライバルの姿を見て、私たちは絶対に大丈夫だ、と思ったんです。

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